用語解説集

食料品の輸送

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リーファーコンテナを使用した食料品の輸送について

コンテナ専用船が就航し、海上コンテナによる輸送が急速に伸展すると、コンテナに温度管理の冷却ユニットを内蔵したリーファーコンテナが開発され、食肉・野菜などの食料品を中心に利用が拡大しました。

 

特に1990年以降は、コンテナ船が大型化したことで大量のリーファーコンテナを積載出来るようになり、従来あった船艙に温度管理設備を備えた冷凍船(Reefer Boat)からリーファーコンテナへの転換が進みました。リーファーコンテナ導入当初は甲板上に設置したプラグの数は少数で、積載可能なリーファーコンテナ数も限られていましたが、大型化に伴ってプラグの数も増え、現在では、一隻に数百のリーファーコンテナを積載できるコンテナ船も登場し、リーファーコンテナの利用は急速に伸びました。
リーファーコンテナのメリットは、貨物を小さなロットごとに温度設定ができること、仕出し地から貨物を引き渡すまでコンテナ内の温度を一定に保ち、貨物の品質を損なわずに輸送出来ることなどです。

 

以下に、リーファーコンテナを使用した食料品の輸送について説明します。

設定温度による分類

①常温

温度を摂氏15~20度に設定し輸送する形態です。例えば、野菜は一定の温度帯より高くても低くても品質が劣化してしまいます。冷凍の状態で運ぶと解凍時に水分が失われ、味が劣化するものもあります。このような野菜や果物、また、高温を嫌う化学物質の原材料や製品は、摂氏18度前後の常温に設定して輸送します。しかし、リーファーコンテナには庫内の温度を下げる機能はありますが上げる機能はありませんから、寒冷地を航行すれば庫内温度は設定温度より低下する可能性は残ります。

 

②氷温

摂氏1~2度から摂氏マイナス2度位の温度設定で、食品が含有する水分が凍結する直前の温度帯です。食物はいったん冷凍してしまうと、解凍の際に流れ出す水分と共に食物の風味が損なわれることが広く知られています。これを防ぐために、腐敗が進行しないよう極力温度を下げ、かつ水分が凝固もしないという極めて狭い温度帯での輸送が氷温輸送です。

 

③冷凍

摂氏マイナス18度~マイナス25度の温度帯です。輸送する貨物の特性により、マイナス5度~マイナス20度程度までの温度に設定します。解凍技術の進歩により、冷凍の温度帯の利用も増えています。

 

④深冷

摂氏マイナス30度以下の温度設定を深冷といい、この温度帯には対応できるコンテナを深冷コンテナと言います。例えば、高価格のアイスクリームはマイナス30~マイナス35度の深冷で輸送されます。また、長距離の輸送により味が劣化してしまうマグロなどの鮮魚は、マイナス60度で輸送することが可能なリーファーコンテナ(Super Freezer, Ultra Freezerなどという)も実用化されています。

CA輸送

野菜や果実は、酸素を取り入れ二酸化炭素と水を排出する「呼吸」を続けることで庫内の二酸化炭素が増加し、輸送中に鮮度が低下します。この「呼吸」を最小限に抑え鮮度の保つためにコンテナ内に不活性ガスを注入し、貨物の「呼吸」を直接抑制して輸送する方法があります。この様な輸送の方法をCA(Controlled Atmosphere)輸送といい、CA輸送に適したコンテナがCAコンテナです。

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