用語解説集
船荷証券(B/L)について
船荷証券(B/L)とは
船荷証券の定義
船荷証券は、船会社やNVOCCが、海上輸送のために貨物を受取った際、または本船に積み込んだ際に荷送人に対して発行する運送書類で、Bill of Lading (B/L) と呼びます。
船荷証券は本来、異なる国の2港間の海上輸送のための書類を意味していましたが、現在では海上輸送ベースとする複合輸送に対し発行される複合運送証券(Multimodal Transport B/LまたはCombined Transport B/L)を含むという考え方が一般的です。
船荷証券の役割
船荷証券は、以下の3つの役割を持っています。
・運送契約の証拠であること
・運送品の受領証であること
・運送品の引き渡し請求権を表象する有価証券であること
運送契約の証拠としての船荷証券
船荷証券は運送人と荷主との間で締結された運送契約の内容を示すものです。
船荷証券には、運送人の義務、免責事由、責任制限などが記載されていますが、船荷証券ごとにその内容が異なっていては荷受人、荷送人、運送人等関係者にとっては大変不都合です。そこで、1924年に「船荷証券に関するある規則の統一のための国際条約」(通称、統一船荷証券条約)が署名され(署名地をとって、ヘーグ・ルールと言います)、その後、コンテナによる海上輸送に対応するために1968年に改訂され(ヘーグ・ヴィスビー・ルールと言います)ました。わが国では、1957年に当時のヘーグ・ルールを取り入れた国際海上物品運送法が制定され、1993年にヘーグ・ヴィスビー・ルールを摂取すべく同法は改正されました。
貨物の受領証としての船荷証券
船荷証券は、運送人が貨物を輸送のために受け取ったこと、または本船に積み込んだことを証する受領証です。券面には荷送人の申告に基づいて、数量、荷印、品質、状態など受取時または積み込み時の貨物の情報が記載されており、運送人は仕向け地において記載通りの貨物を引き渡す義務を負います。従って、荷送人によって貨物が積み込まれたコンテナや外見からは内装個数の見えない梱包など、運送人が中身を知ることができない貨物に対しては、運送人は“Shipper’s load and count”や“Said to contain”などの文言を表面に記載して、貨物情報の正確性については責任を負わないことを明示しています。この文言を「不知文言」、全体を「不知約款」といいます。
貨物の受領証としての船荷証券
船荷証券は、運送人が貨物を輸送のために受け取ったこと、または本船に積み込んだことを証する受領証です。券面には荷送人の申告に基づいて、数量、荷印、品質、状態など受取時または積み込み時の貨物の情報が記載されており、運送人は仕向け地において記載通りの貨物を引き渡す義務を負います。従って、荷送人によって貨物が積み込まれたコンテナや外見からは内装個数の見えない梱包など、運送人が中身を知ることができない貨物に対しては、運送人は“Shipper’s load and count”や“Said to contain”などの文言を表面に記載して、貨物情報の正確性については責任を負わないことを明示しています。この文言を「不知文言」、全体を「不知約款」といいます。
有価証券としての船荷証券
船荷証券は貨物の引き渡し請求権を表象する有価証券です。小切手や株券など他の有価証券同様、船荷証券もそれが表象する権利の行使や移転のためには証券の占有を必要としますので、その取り扱いは法律によって以下の通り定められています。
①船荷証券と引き換えでなければ貨物の引き渡しを請求をできない。
②船荷証券に記載された通りの貨物を引き渡さなければならない。
③裏書により譲渡が可能である。
④船荷証券の所持人は質権や所有権について第三者に対抗できる。
⑤船荷証券の所持人のみが貨物に対する権利を行使できる。
などです。
船荷証券の提示
通常、船荷証券は紛失などに備えて複数(3通が一般的)の正本が発行されますが、荷受人はそのうちの1通を運送人に提示することにより貨物の引き渡しを受けることができます。そして、1通を回収した時点で残りの正本は無効となります。
船荷証券の種類
船積船荷証券と受取船荷証券
船積み船荷証券(Shipped B/L・On Board B/L)は貨物が本船に積み込まれた旨の記載のある船荷証券です。コンテナ輸送が始まる以前は、ほとんどの貨物に対して船積船荷証券が発行されていました。受取船荷証券(Received B/L)は、運送人が荷主より貨物を受け取った時点で発行される船荷証券です。貨物が本船に積み込まれる前にコンテナターミナルやCFSで運送人に引き渡されるというコンテナ輸送に対応するため、現在では多くのNVOCCが荷主の求めに応じて、この受取船荷証券を発行しています。受取船荷証券は、本船名と船積み港及び船積み年月日を追記することによって船積船荷証券と同じ扱いに変更することが出来ます。
このような追記をon board notationと言います。
無故障船荷証券と故障付き船荷証券
無故障船荷証券(Clean B/L)は、貨物が外見上良好な状態で船積みまたは受け取られた時に、貨物の状態について注記することなく発行された船荷証券です。
故障付き船荷証券(Foul B/L)は、物品(物理的な損傷や品数不足など)または包装に瑕疵(破れや凹みなど)のあることを示す摘要(リマーク)が記載された船荷証券で、信用状(L/C)取引では、銀行は原則として故障付き船荷証券の買い取りを拒否します。
記名式船荷証券と指図式船荷証券
記名式船荷証券(Straight B/L)は、荷受人(Consignee)の欄に荷受人の名前が記名され特定されている船荷証券です。多くの国の海上物品運送法では第三者への譲渡はできない、とされていますが、日本では、裏書を禁ずる(Non-Negotiable)の記載がなければ、荷受人による裏書譲渡が可能となっています。
指図式船荷証券(To Order B/L)であっても、荷受人(Consignee)の欄に“TO ORDER”、“TO ORDER OF SHIPPER”、“TO ORDER OF XXXBANK”など、「~の指定する者に貨物を引き渡しなさい」という記載がある場合は、裏書譲渡が可能です。
複合運送船荷証券 (Multimodal Transport B/L / Combined Transport B/L)
複合輸送(海上輸送を含む複数の輸送手段による2国間以上にまたがる運送)の契約を証する運送書類です。港から港への海上輸送で発行される本来の船荷証券ではありませんが、有価証券として船荷証券と同様の機能と性質を持っています。
海上運送状(Sea Way bill)
運送人が貨物の受け取りまたは船積みを確認する運送契約書です。
船荷証券のような権利証券ではなく、取り扱いに関して以下の特徴を持っています。
・貨物の引き渡し時に提示を必要としない。
・譲渡性がなく、特定された荷受人のみが貨物を引き取ることができる。
・所持していても、貨物の所有権を主張できない。
・運送人は荷受人の身元を確認することが必要である、など。
海上運送状は、紛失による損害リスクがない、荷受人に確実に送付する手間が省けるなどの利便性だけでなく、近距離航路など航海日数が短く、荷受人が本船の揚げ地入港までに船荷証券を入手することが難しい取引において効力を発揮し、その利用が増えています。
船荷証券の流通
流通性のある船荷証券と無い船荷証券
指図式船荷証券(To Order B/L)は、貨物を指図人へ引き渡すことを求めるため流通性のある船荷証券です。一方、記名式船荷証券(Straight B/L)は、荷受人の名前が特定されているので流通性がありません。ただし、わが国では裏書禁止の記載がない限り、第三者への譲渡が可能です。
船荷証券は貨物を表象する有価証券ですから、船荷証券の流通は、即ち貨物の占有及び貨物に対する権利の移転を意味します。
船荷証券の流通方法
流通性のある船荷証券は、裏書譲渡により流通します。裏書の方法には下記の2種類があります。
【記名式裏書】
船荷証券を譲り受ける人(被裏書人)を記載する裏書です。
(例)DELIVERY TO THE ORDER OF XYZ COMPANY(被裏書人)[ABC COMPANY(裏書人)による署名]
【白地式裏書】
被裏書人を記載しない裏書です。この方式は、流通の経路は不明なので、船荷証券の実際の所持人が正当な所持人であると推定されます。
貿易取引と船荷証券
①売買契約締結
②輸入者が取引銀行(開設銀行)に対しL/Cの発行を依頼する
③開設銀行はL/Cを発行し、輸出国の通知銀行へ送付する
④船積みが行われ、運送人が船荷証券を輸出者に対し発行する
⑤輸出者は船荷証券を含む船積書類を通知銀行に引き渡す
⑥通知銀行は輸出者へ代金を支払う
⑦通知銀行は船荷証券を含む船積書類を開設銀行に送付する
⑧通知銀行・開設銀行間で代金決済が行われる
⑨輸入者が開設銀行に代金を支払う
⑩開設銀行は船荷証券を含む船積書類を輸入者に引き渡す
⑪輸入者は船荷証券を運送人に提示し、貨物の引渡しを受ける
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