用語解説集

保税運送の要点

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保税運送と保税地域

保税運送とは、税関長の承認を受けて保税地域間に限って外国貨物を未通関のまま国内を輸送することで、トラックなど陸路を利用する保税輸送をOver Land Transport(OLT)、航空機を利用した保税輸送をOver Air Transport(OAT)、水路を利用した船舶による保税輸送をInter Coast Transportと言います。

 

保税地域とは、外国貨物すなわち通関済みの輸出貨物や未通関の輸入貨物を蔵置することが許可された場所です。わが国には、指定保税地域(コンテナターミナルや空港など、財務大臣が指定)や、保税蔵置場(CFSや倉庫など、税関長が許可、以下同)、保税工場、保税展示場、総合保税地域の5つの形態があります。

保税輸送のメリット

輸出貨物を例にとると、輸出業者は、製品の製造現場や梱包する倉庫で輸出の通関が出来れば、港頭地区や空港周辺の倉庫などへ未通関の製品を持ち込んでそこで輸出通関を行うより手間が省け、また輸送時間も短く出来ます。また、複数の港や空港を利用して輸出を行う場合、ゲートとなる港ごとで通関業者を手配するよりも手元の倉庫で通関して港湾や空港へ外国貨物を輸送する形態が好まれ、保税輸送の利用は増加しています。
また、輸入貨物の通関を内陸で行うと、保税輸送の費用に消費税が課税されないというメリットもあります。

保税輸送の実務

保税輸送を行うには、発地の税関に「外国貨物運送申告書」を提出し税関長の承認を受けます。この申告書はノーカーボン紙で「運送目録」にもなっており「運送目録」の確認も同時に行われます。目的地に到着したら着地を管轄する税関に発地で確認を受けた「運送目録」を提示し確認を受けます。

包括保税運送制度

保税輸送は頻繁に利用される制度ですから、輸送の度に上記の手続きを取っていたのでは事務が煩雑です。そこで、保税運送を保税地域の許可を受けた者、または通関業者が行い、かつコンテナ貨物であり取り締り上問題がないと認められた場合には、税関長が一年以内の期間を指定して一括承認を行うことが出来ます。一括承認が下りると、運送目録の確認も1ヵ月ごとにまとめて受けることが出来ます。この制度を包括保税運送制度と言います。

特定保税運送制度

特定保税運送制度は、優良な企業に対してさらに簡便な手続きで保税輸送を認める制度です。具体的には貨物のセキュリティー管理とコンプライアンスが整備された認定通関業者や特定保税承認者、またその他の国際運送貨物取扱業者について、保税運送の承認を個々に取得する必要がなくなり、特定委託輸出申告にかかわる貨物について輸出者の委託を受けて、保税地域以外の場所から直接積み出港まで運送が可能になります。

欧州域内の保税輸送

欧州にもT-1並びにT-2の二つのタイプの保税輸送制度があり、T-1は関税とVAT(付加価値税)の両方を保税の状態で輸送し、T-2は関税のみ支払いVATのみ保税の状態で輸送します。現状は関税がEUで統一されたこと、またEUに最初に入った地点までの運賃のみがCIFの運賃部分とみなされるため、T-2輸送はまれにしか行われなくなりました。EU域内の輸出入は国境通関そのものが廃止されたので保税の問題は発生しません。

米国の保税輸送

米国の内陸地点で輸入通関が行われる場合は、荷揚げ場所から内陸の通関地点(保税倉庫など)までをIT(Immediate Transport)という制度の下で保税輸送されます。ITの手配は受荷主の他、輸送者やカスタムズブローカー(通関業者)などが行います。

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