用語解説集

混載貨物について

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混載貨物のダメージ

コンテナ輸送の普及により、それまでの在来船による輸送に比べ、貨物に対する損傷は大幅に減少しました。しかし、揺れによるコンテナ内の荷崩れなど、輸送上不可避であるダメージに加えて、コンテナ輸送特有のダメージについては余り知られていないものもあります。

 

以下に、混載貨物のダメージを中心にコンテナ輸送で発生するダメージについて紹介します。

CFS搬入時のダメージ

CFS搬入の際に見つかるダメージは貨物そのものの損傷より、その梱包に関するものがほとんどです。カートンボックスの破れや凹み、ラッピングの破れ、パレットの破損、カートンの外装の強度の不足による破れなどです。搬入時、軽微なものはその場でテーピングするなどして補修し、写真を撮って記録を残します。また、輸送に支障が生じると思われるもの、特に通関済みの貨物はCFSで手直しをすることが出来ませんから、いったん荷主の倉庫などに戻して手直しの後再搬入するなど厳正にチェックします。

CFS内でのダメージ

CFSで発生するダメージは、専らCFS内で貨物を移動させる際に発生し、代表的なものはフォークリフトなどのラフハンドリングによるものです。CFSでは、このような作業中の事故を防ぐため、フォークリフトの運転要領、貨物の保管方法などCFS内のルールを厳格に定め、作業員教育を徹底するなどして貨物事故の防止に努めています。

コンテナへの積み込み(Vanning)積み卸し(Devanning)のダメージ

コンテナへの積み込みは、小型のボックスなどは手作業で積み込みますが、ほとんどの貨物はフォークリフトでコンテナの中まで運ばれます。

 

CFSで発生するダメージのほとんどは、このコンテナへの積み込み、または、コンテナからの積み卸し作業中に発生します。主な発生原因は、フォークリフトのフォーク(爪)を誤って貨物にぶつけて外装を破ってしまったり、カートンや木箱を破ってしまうものや、不注意な運転によりフォークリフトを他の貨物にぶつけてしまうなどがあります。

輸送中のダメージ

輸送中のダメージは、CFS/CY間の陸送の際の振動や、船の揺れによってコンテナ内で貨物が動いて他の貨物とぶつかって発生するダメージ、二段以上に積まれた貨物が崩落して発生するダメージ、コンテナの庫内温度の変化や湿度の変化が引き起こす結露など、輸送環境に由来するものがあります。

 

揺れや振動によるダメージは、CFSでコンテナへ積み付ける際、貨物が動揺しないように仕切り板を入れ、床に角材を打ち付けるなどの手当てをして輸送中の貨物の移動を防止します。また、貨物が不定形で不安定な積み付けとなる場合は、荷敷き(dunnage)やエアバッグを入れるなどして、貨物の移動を抑えます。

 

温湿度による影響は、専ら結露として現れます。コンテナ内の水蒸気を除去することは不可能ですから、ある程度の結露は許容せざるを得ません。しかし、湿気の多いダンボールや木製パレットを使うなど、梱包材の素材の品質が適正でないと、これら荷役資材が結露の原因となることもあります。また、航海中に高温多湿な海域と寒冷な海域を通過するなど温湿度の変化が大きい航路で輸送される場合などは、コンテナ内の空気に含まれる湿気が結露の原因となることもあります。
そして、結露の結果、カートンボックスが水分を吸って(吸湿して)ふやけてしまい、積み上げ加重に耐えられなくなって変形し、貨物ダメージが発生することもあります。この様な事例に対しては、荷送人やその梱包業者が船社や混載業者から情報のフィードバックを受け、梱包材の改善を行うなどの対応をとります。

注意を要する混載貨物

混載貨物の積み付けに際しては、コンテナ全体の重量配分に注意しながら、最大積載重量を守ってコンテナ内のBroken Spaceを最小限に止めることが収益性を高めるポイントになります。また、コンテナ内での貨物の移動や転倒を防ぐために、Dunnage(緩衝材)を入れたり、コンテナの床に固定材を打ち付けたりします。

 

また、貨物の特性によっては、積み付けの制限や特別な手配を必要とすることもあります。例えば発火性の貨物、身体に有害な貨物、毒物、酸・アルカリ性物、液体類などのいわゆる危険品は「危険物船舶運送及び貯蔵規則(危規則)」や「船舶による危険物の運送基準等を定める告示」などの法令に則って保管し積み付けます。危規則で禁止される例として、酸化性とアルカリ性の同梱があります。これは、同一コンテナ内で酸性物質とアルカリ性物質が混ざり合って発火することを未然に防ぐための規則ですが、あらゆる貨物を取り扱う混載業者は、このようなことにも注意して貨物を引き受けなければなりません。以下に典型的な注意貨物を、運送人の立場で説明します。

重量物/長尺貨物

積載効率の悪い重量物や長尺貨物は、カートン梱包などの一般貨物と同一運賃で引き受けることはできません。混載貨物の運賃は、1重量トンまたは1立法メートル当たり幾らと表示していますが(Revenue tonといいます)、通常は、重さより容積の方が大きいので容積により運賃を計算します。重量物が多くなればコンテナ内の容積を一杯に満たせなくなることから、通常の貨物より高い運賃設定をする必要があります。また、通常のフォークリフトの能力を超える場合、特別な手配も必要です。長尺貨物は揚げ地でのDevanning作業も考慮して貨物を床に直置きをせず、資材を敷くなどしてコンテナに積み付けるので追加費用が発生します。さらに、多くの長尺貨物はその上に他の貨物を積む(段積み)することを嫌いますから、長尺貨物の上には空間(Dead Space)が生じ勝ちです。これらの要素を考慮して運賃を設定するため、通常の貨物より割高となります。重量で4トン、長さで3メートルを越える場合が目安となります。

蓄電池

携帯電話やパソコンなどの電子機器に使用されるリチウムイオン電池は、輸送中に発火や発煙する事故が多く発生しています。また蓄電池は、酸性液体を内蔵するもの(UN2794)とアルカリ性液体を内蔵するもの(UN2795)があり、これらを同じコンテナに積むことはできません。乾電池(UN3028)は通常乾燥状態の水酸化ナトリウムが内蔵されています。

磁石

磁石から発生する磁場は、高性能な精密機器(検査用器械など)へ悪影響を与える可能性があるので、同一コンテナへの合い積みは避けます。

コイル

コイルは、強い力で巻き上げられており、荷崩れなどによりコイルが緩んだりした場合、コンテナのパネルが吹き飛ぶほどの破壊力を示すことがあります。従って「裸もの」即ち、むき出しのままパレットに載せてバンドル(帯)がけをした状態では引き受けることが出来ません。Eye-up(巻取り軸を上にして置くこと)して、強固に木箱梱包している事が最低限の引き受けの条件となります。

CFSへの搬入

危険品は消防法の規制を受けるために、多くのCFSでは、危険品の搬入はコンテナへの積み付け当日としています。速やかに積み付け作業に取りかかれるよう、搬入の時間を荷主と綿密に打ち合わせるなど事前の準備が必要です。

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