用語解説集

混載輸送について

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混載輸送の実務

混載貨物の荷送人(Shipper)は、船社やNVO・フォワーダーが指定するCFS(Container Freight Station)に搬入し、荷受人は仕向け地で船社やNVO・Forwarderが指定するCFSか、荷受人の倉庫や工場などで貨物を引き取ります(Door Delivery)。
以下に混載貨物の実務について説明します。

1. 貨物の引受け

荷送人(輸出者)は輸出貨物を自らの工場や倉庫で梱包し、トラックで運送人(混載業者や船会社)が指定するCFSに搬入します。

 

CFSに到着した輸出貨物は、貨物や梱包にダメージがないかチェックされ、同時に検査員が貨物や梱包の状態や貨物の個数が足りているかなどを確かめて記録に残します。そして問題がなければ、搬入して来たトラックの運転手に受取票(Dock Receipt)を交付しますが、梱包が破れるなどしてそのまま引き取れない場合や、貨物に損傷や凹みなどが見つかった場合は、Dock Receiptにその旨Remarkを付けて交付します。このRemarkはB/L(Bill of Lading、船荷証券)にも引き受け時のRemarkとして転記されるので、Remarkが記載されるのを防ぐために、通関前の貨物ならドライバーや荷主の了解を得て補強するなどして輸送に耐えるよう手直しをし、簡単な手直しで修復できないものや通関済の貨物は、いったん持ち帰り、荷主によって補修してから再搬入します。

2. CFSでの作業

搬入された輸出貨物は、既に通関済みであるもの(外貨搬入)と、未通関のまま搬入されコンテナに積み込む前に通関を切るもの(内貨搬入)があります。未通関の貨物も、CFS Cut日(本船ごとに設定されるCFSへの搬入の締め切りの日で、実際には土日を除く本船入港日の2日前)までに通関を済ませます。通関が遅れバンニングの当日になってしまうと、通関が切れるまでその貨物のバンニング作業ができず、CFSの作業に大きな支障が出てしまい、予定のコンテナに積むことを見合わせざるを得なくなることもありますから注意が必要です。

 

CFSでは仕向け地別に貨物を蔵置し、原則として積載予定船のCY Cut日にコンテナへの積み込み(バンニング)を行います。CFSでは貨物が揃う前日のCFS Cut日に予定船ごとに貨物明細表を作成し、必要なコンテナの数とタイプ(20ft、40ftの別など)を確定し、コンテナごとのVanning Planを作成します。バンニングの際は、このVanning Planに従って貨物を積み込んでいきます。バンニングには検数人が立ち会い、貨物の現況に瑕疵がなく数量に誤りがないかチェックしてCLP(=Container Load Plan)を作成します。バンニングが終了したコンテナはCYに搬入され、荷主から受け取った輸出許可書(Export Permit=E/P)や検査証明書などを船会社に手渡します。

3. 貨物の引き渡し

仕向け地に到着した貨物は混載業者や船会社の手配で揚地CFSに搬入されます。揚地CFSでは、コンテナから荷物をデバンニングし、受荷主が貨物を引き取りに来るのを待ちます。輸入に際して必要な通関手続きや動物検査・植物検査などのその他の手続きは荷主の手配によって行われますが、税関の許可を得て未通関のまま荷主の倉庫や工場まで運び、そこで通関することもあります。また、多くの場合、揚げ地のCFS Chargeなど揚げ地で受荷主が支払う諸費用があります。運送人はそれらの支払いが済んでいることを確認してからDelivery Order(D/O)を受荷主に交付し、受荷主は交付されたD/OをCFSに提示して、貨物の引き渡しを受けます。

混載輸出業務の流れ

貨物を輸出する際、貨物の種類によっては、関税法のみならず輸出貿易管理令や、麻薬及び向精神剤取締法(いわゆる麻薬取締法)などの諸法令の規定に抵触していないことを証明しなければなりません。この様な輸出業務は非常に煩雑で確実な申告が求められることから、通関業務は通関士が独占的に行います。

 

通関業者は、通関業務のみを専業に行っているものもありますが、多くの場合、配送や保管など、輸出に必要なサービスを総合的に取り扱っているフォワーダーという形態をとっています。混載貨物の輸出という視点から重要な事柄を以下に紹介します。

通関の時期

LCL貨物の通関は、CFSへの搬入後に行うことも出来ますが(内貨搬入)、貨物をコンテナに積み込む(バンニング)までに輸出通関を済ませなければなりません。CFS搬入後に通関をかける場合、輸出許可が遅れると、予定していた本船に積み込むことが出来なくなるので注意が必要です。

CFS搬入時のRemark

LCL貨物は、CFSで貨物を受け取った時から運送責任が生じます。 従って、後日の紛争を避けるためにも、貨物の搬入時には入念に貨物の状態をチェックします。その際、貨物そのものをチェックすると同時に、梱包の種類によっては、カートンやラッピングの破れや凹みなどもチェックし、もし問題があればドライバーに交付する入庫確認票(Dock Receipt)にその旨をRemarkとして記載します。このRemarkは原則としてB/Lを発行する際のRemarkになりますから、Remarkが入るような不具合が見つかった場合は、いったん持ち帰って補修するか、未通関の貨物で軽微なものは搬入して来たトラックの運転手が手直しをすることもあります。

輸出業務の流れ

1. 輸出者の業務の流れ

①輸出売買契約を締結します。
②諸官庁へ輸出許可(輸出規制品など)を申請します。
③NVOCCなどの運送人に船積み予約(ブッキング)をします。
④海上保険を付保します(CIFの場合)。
⑤CFSへ搬入します。
(上記②~③は順不同です)
*CFS搬入前に通関を済ませる場合は、以下の2・3・4が先行します。

 

2. 通関業者の業務

①輸出者より輸出関連書類(仕入書など)を入手します。
②輸出申告書を作成し、税関へ提出(通常はNACCSに入力)します。

 

3. 通関業者による処理並びに通関士による審査

①通関業者は、NACCSを通じて貨物情報照会を行い、貨物が実際に搬入されたことを確認したら、輸出申告入力控えを確定します。
②通関士は、確定させた輸出申告入力控を審査し、審査終了後、所轄の税関に輸出申告を提出します(通常はNACCSより輸出申告を提出)。

 

4. 税関による審査と輸出許可

輸出通関を行い、問題がなければ輸出を許可します。

 

5. CFSでのコンテナ積み込み及び船会社へのコンテナ搬入

輸出許可を受けた貨物をCFSでコンテナに積み込み、ドアを閉めた後コンテナにシールをします。CY Cut日までに船会社のコンテナヤードにコンテナを搬入し、コンテナ船に積み込まれます。

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