用語解説集

国際海事機関

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国際海事機関(International Maritime Organization、IMO)とは

19世紀に入り多くの船舶が世界中の海を航行するようになると、人々は航海の安全を確保するために、海上交通や港・灯台の運用について共通のルールが必要だと感じるようになりました。また、貿易に携わる者、貨物に対する海上貨物保険を引き受ける者も、船舶の構造や安全設備について、国際的な取り決めが必要だと考えるようになりました。

 

1912年に北大西洋で起きたタイタニック号の遭難事故では、救命艇や無線装置、救命胴衣などの救命器具や備品の不備が犠牲を大きくしたと指摘され、2年後の1914年に世界で初めて「海上における人命の安全のための国際条約」(The International Convention for the Safety of Life at Sea=SOLAS)が採択され、一部修正された後1933年に発効しました。

 

第二次世界大戦の戦勝国により設立された国際連合には、運輸通信委員会が設置され、同委員会は船舶輸送の技術面を検討するための海事専門機関を常設することが必要との報告が提出されました。そして、1948年にスイスのジュネーブで国際連合海事会議が開催され、政府間海事協議機関(Inter-governmental Maritime Consultative Organization=IMCO)の設立が決まり、併せてその活動に関するIMCO条約が採択されました。この条約は、100万総トン以上の船腹を有する7カ国が批准することが発効の要件とされていましたが、条約の採択後10年を経過した1958年に日本が同条約を批准し、ようやく条約は発効しました。

 

その後、IMCOの活動内容は拡大し加盟国も増加し、1975年の条約の改正、1982年の発効を機に、IMO(=International Maritime Organization:国際海事機関)と改称し今日に至っています。

今日のIMOの活動

1.組織

IMOは、2年に1回総会を開催し、年2回理事会を開催します。それに加え、条約の審議等を行う海上安全委員会(Maritime Safety Committee)、法律委員会(Legal Committee)、海洋環境保護委員会(Marine Environment Protection Committee)、技術協力委員(Technical Cooperation Committee)、簡易化委員会(Facilitation Committee)の5つの専門委員会が設置されています。

2.主な活動

IMOは、船舶の安全、海洋汚染の防止、海難事故発生時の適正な対応被害者への補償、円滑な物流の確保等の様々な観点から、船舶の構造や設備などの安全基準、積載にかかわる技術要件、船舶からの油・有害物質・排ガスなどの排出規制などに関する条約や基準などの作成、改訂を随時行っています。

 

IMO(IMCO)がこれまでに制定した主な条約は、

1974年海上人命安全条約(SOLAS条約)

船の構造、救命設備、無線設備などの基準

 

1966年満載喫水線条約(LL条約)

貨物の積載限度に関する国際条約(LL条約)

 

海洋汚染防止条約(MARPOL73/78条約)

船舶の運航に起因する汚染防止

 

国際海上交通簡易化条約(FAL条約)

国際航海に従事する船舶の入出港に関する手続きの簡易化

 

などがあります。
近年では、とりわけ地球温暖化への取り組みを強化するなど、常に時代に則した課題に取り組んでいます。

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