用語解説集

貨物海上保険(荷主が付保する保険)

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貨物を守る「貨物海上保険」

古来より海上輸送には海難を始めとする海固有の危険があり、貨物の所有者は輸送中の貨物損害に対して、海上貨物保険(以下、貨物保険と言います)を付保して、損害発生時の経済的負担を軽減してきました。コンテナ輸送の普及、特に複合一貫輸送の伸展により、「商品の引き渡し場所」「輸送の手配を行う者」「保険の手配を行う者」がどのように絡むかというパターンは複雑になり、貨物保険も、保険を付保する者のニーズの多様化に応じたオーダーメードのものが増えています。単に誰が保険を付保するかというだけではなく、保険の内容も多様化しています。以下に貨物保険の概要について説明します。

貨物保険の概要

貨物保険の本来的な意義は、輸送中に偶発的に発生する様々な事故によって貨物に生じた損害を補償するものですが、貨物の滅失や破損のみならず、水濡れや変質など、貨物の価値を毀損する事故に対しても保険の対象になります。

 

貨物保険が補償する対象については、海上輸送に付随して起きるいわゆるマリンリスクと、関係国の戦争やストライキなどで輸送が途中で不可能になった時に適用されるリスクに大別されます。適用の範囲と免責事由は、国際間の取引において標準的に取り入れられているロンドン保険業者協会による「協会貨物約款」(Institute Cargo Clauses: ICC、)に規定されています。

「協会貨物約款」(2009年版)の概要

この表からも明らかな通り、「協会貨物約款」は広範なリスクに対して損害を補償します。補償の対象とならない主なものは、
①故意・違法行為による損害
②被保険者が行なった荷造り、梱包の不完全・コンテナ内への積み付け不良による損害
③貨物固有の瑕疵または性質による損害(自然損耗、通常の減少、発汗、蒸れ、腐敗、変質、錆びなど)
④航海、運送の遅延に起因する損害
⑤慰謝料、違約金、廃棄費用、残存物取り片付費用等の間接費用
⑥貨物が陸上にある間の戦争危険による損害
⑦原子力・放射能汚染危機による損害
⑧生物化学・電磁気などの兵器による損害
⑨通常の輸送過程ではない保管中などのテロ危険による損害
⑩船舶の所有者、管理者、用船者または運航者の支払い不能または金銭債務不履行による滅失、損傷または費用(ただし、被保険者((保険を掛けたもの))がそのような支払い不能または金銭債務不履行が、航海の通常の遂行を妨げることになり得ることを当然知っているべきである場合に限る)
となっています。

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