用語解説集

NVOCCについて

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NVOCCの法的な位置付け

米国海事法とNVOCC

NVOCC(Non-Vessel-Operating Common Carrier)という言葉の由来は、米国発着の海上貨物輸送に従事する外航利用運送事業者を指す言葉で、1984年米国海事法において初めて定義されました。

 

その後、海運同盟を中心とする定期海運業の規制緩和と競争促進を図る動きが加速し、1984年米国海事法の改正法として1998年米国海運改革法(The Ocean Shipping Reform Act of 1998:OSRA)が制定され、海上運送仲介業者(Ocean Transportation Intermediary:OTI)という新しい概念を導入し、NVOCCとOcean Freight Forwarder(米国から輸出する貨物について、荷送人の代理人として船積み手配及びその関連業務を行う海上運送取扱業者)の2者をOTIと位置付けました。さらに2005年に開催された米連邦海事委員会(Federal Maritime Commission:FMC)では、NVOCCが運送人として荷主とサービスコントラクト(NVOCC Service Arrangements:NSA)を締結することを認めました。

 

この結果、NVOCCは従来通り荷主として船会社とサービスコントラクトを結ぶ一方、実荷主に対してはNSAに基づく輸送サービスの提供が可能となりました。

わが国における法的規制

NVOCCという用語は、今日では自ら運送人となって自社のHouse B/Lを発行し、国際間の複合輸送を行うオーシャン・フレイト・フォワーダーとほぼ同義と扱われていますが、わが国では、フレイト・フォワーダーや混載業者がNVOCCとして運送人となってサービスを提供する場合は、貨物利用運送事業法の規制を受けます。この法律は、物流における需要の高度化と多様化に対応するため、従前の貨物運送取扱事業法の一部を改正し、平成15年4日1日に施行されました。

 

同法は、利用する輸送手段(自動車・船舶・航空・鉄道)を問わず、利用運送事業を一元的に対象としています。

貨物利用運送事業法の概要

利用運送の定義

「運送事業者の行う実運送を利用してする貨物の運送」(第2条)

外航利用運送の場合の実運送人:船舶運航事業者=船会社

※規制の対象は日本からの輸出にかかわる利用運送に限られます。

利用運送事業の種類

利用運送事業第一種貨物利用運送事業と第二種貨物利用運送事業に分類しています。

 

第一種貨物利用運送事業

貨物の集配を行わない事業です。外航利用運送の場合、Port to Port の海上輸送のみを対象とし、登録制です。

事業者は、国土交通大臣に登録すれば、開業が可能です。

 

第二種貨物利用運送事業

利用運送に先行または後続するトラックなどを使った貨物の集配などを含め一貫して行う事業で、日本国内の発地からトラックで集荷⇒海上輸送⇒外国の着地においてトラックなどで配達する事業(Door to Door)などを行い、許可制です。事業を経営しようとする者は国土交通大臣の許可を受ける必要となります。

 

利用運送約款の認可

貨物利用運送事業者が事業を開始するには、第一種、第二種を問わず、各社ごとに利用運送約款を定め、国土交通大臣の認可を受けなければなりません。

NVOCCとかかわりの深い業界団体

NVOCCの業界は、輸送代理店や海運貨物取扱業者(海貨業者)との接点が多くありますが、以下に主だった業界団体の概要について説明します。

FIATA:International Federation of Freight Forwarders Associations (国際輸送代理店業者連盟)

1926年5月にオーストリアのウィーンで設立されました。同連盟は政府間の協定ではなく、民間のフレイトフォワーダー(海貨業者)によって結成されたもので、現在の加盟企業数は約40,000社、約150ヵ国の加盟各社の従業員総数は800万から1,000万人と非常に規模の大きなものです。

 

その活動は、業界関連情報の提供のほか、全ての輸送モードに対して使用可能な独自のB/Lである「FIATA B/L」を策定し利用を促すなどを行っています。以前は共産圏を中心に、NVOCCのB/Lを認めない国が少なからずあり、わが国のNVOCCも、それらの国々を仕向け地としてB/Lを発行する場合は、FIATA B/ Lを使わざるを得ないこともありました。

 

わが国からは日本海運貨物取扱業会(JFFF)と、航空貨物運送協会(JAFA)が同連盟に加盟していますが、NVOCCの業界団体である国際フレイトフォワーダーズ協会(JIFFA)も2013年に同連盟に加盟しました。

JIFFA:Japan International Freight Forwarders Association Inc. (一般社団法人 国際フレイトフォワーダーズ協会)

日本における国際複合輸送業の業界団体として1981年に発起人11社を加えた83社により任意団体の日本インターナショナルフレイトフォワーダーズ協会として発足しました。そして1985年に運輸省(現在の国土交通省)の認可を受けて社団法人日本インターナショナルフレイトフォワーダーズ協会と改組・改称し、その後公益法人改革に合わせて2012年4月に、組織の改編と共に現在の名称に変更しました。2013年現在、加盟企業は400社を超える大きな団体となっています。

 

JIFFAの主な事業は、利用運送による国際貨物輸送に関する調査・研究、統計などの整備と公表、運送書類の書式・約款や意見の公表、関係官庁への意見の建議その他となっていますが、専門的な教育の実施の一環として、国際複合輸送士の資格付与を主管するなど、教育にも力を注いでおり、以下の書式や約款を制定し、その普及を図っています。

 

・JIFFA MT(Multimodal Transport) Bill of Lading

・JIFFA Waybill

・JIFFA FCR (Forwarder’s Cargo Receipt)

IATA:International Air Transport Association (国際航空運送協会)

国際線を運航する航空会社や旅行会社などが集まり、航空運賃や航空運送のルールを制定することなどを目的に、1919年オランダのハーグで International Air Traffic Associationが設立され、1945年に現在のIATAが旧IATAを継承する機関として設立されました。2014年1月現在の加盟航空会社数は115ヵ国を越える約240社となっています。本部はカナダのモントリオールでスイスのジュネーブにもオフィスがあり、航空運賃のガイドラインを示すなどの活動を行っていますが、同協会のカルテル的な性格を嫌い、いわゆる格安航空会社(LCC)を中心に同協会に加盟しない航空会社も増えてきました。

 

なお、国際航空貨物を取り扱うインターナショナル・エア・フレイトフォワーダーの資格を得るには、同協会の認証を受ける必要があります。

NVOCCに関連する機関と公的資格

1968年8月に、わが国で初めてコンテナ専用船によるサービスが開始されて以来、コンテナ輸送は急速に発展し、コンテナ輸送の特徴を生かして、船・鉄道・トラックなどの各種輸送手段を効率的に組み合わせた「国際複合一貫輸送」が拡大しました。

 

わが国では1981年10月に利用運送業者による国際複合一貫輸送、及びこれに関連する事業に従事するフレイトフォワーダーの任意団体として日本インターナショナルフレイトフォワーダーズ協会が設立され、85年10月には運輸大臣(当時)の許可を得て社団法人日本インターナショナルフレイトフォワーダーズ協会(Japan International Freight Forwarders Association Inc.:JIFFA)に改組されました。同年、インターナショナルフレイトフォワーディング事業の発展と安定化を図るという同業界の設立趣旨に則って「国際複合輸送士資格認定講座」を開講し、講座を終了して一定の成績を修めた者に国際複合輸送士という資格を与えました。同講座は1992年10月に運輸省(現在の国土交通省)の認定講座「国際複合輸送士養成講座」となりましたが、規制緩和の流れで1998年に認定がはずれ、名称も「国際複合輸送士資格認定講座」に戻りました。

 

なお同協会は、公益法人制度改革により一般社団法人への移行認可を受け、2012年4月、一般社団法人国際フレイトフォワーダーズ協会(英文名はJIFFAのまま)と改組・改称しました。

国際複合輸送士資格認定講座と国際複合輸送士資格(民間資格)

国際複合輸送士資格認定講座は、国際フレイトフォワーダーズ協会が主催するもので、海上輸送に関係する国際複合輸送サービスの専門的な知識・ノウハウを備えた人材を育成することを目的に行われています。講座終了時に行われる試験に合格すると、「国際複合輸送士」の資格が与えられます。

 

主な講座の内容は、貿易一般や国際物品輸送にかかわる法規・運送約款・運送実務などで、その受講資格は、国際複合輸送関連業務で3年以上の経験を持ち、国際複合輸送の専門技術者を目指す者、または国際複合輸送担当の中堅管理者で、所属店社の推薦を受けた者です。また、同協会の会員以外でも、国際物流管理や国際複合輸送の専門知識を体系的に学びたいという一般の人々にも門戸を開いています。

通関士(国家資格)

通関士は、財務省管轄の国家資格である通関士試験に合格し、通関業務を行う認可を財務大臣から受けた通関業者に雇用され、かつその会社(個々の事業所)によって通関士として登録された者を言います。つまり、通関士試験に合格しただけでは、通関士と名乗ることはできません。

 

通関士の業務は、通関手続きの代理、通関書類の作成代行、関税計算書等の審査請求・不服申し立ての代理、主張・陳述の代行です。これらの業務の代理・代行は、一部を除いて通関士資格を持った者のみが行うこの出来る独占業務となっています。

通関業を行う者は、通関業法の規定に則り、一定規模以上の事業所に専任の通関士を配置することを義務付けられています。

 

以前は、専属の通関士として届け出るには、登録される者はその通関業務を行う企業と直接の雇用契約のある正社員であることが実質的に求められましたが、今日では、他社に雇用される出向社員、契約社員、派遣労働者などの直接雇用関係にない者も専任の通関士として登録できるようになりました。

 

通関士試験は、通関業法、関税法、関税定率法及びその他関税に関する法律、外国為替及び外国貿易法等、通関書類の作成要領及びその他通関手続きの実務など、関連法規のみならず実務面の知識も問うものとなっています。

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